国際引越し一回目 日本からイギリス編

19歳の時、私はイギリスへ渡った。その時初めて国境を越えて引っ越した。留学目的での渡航だったため、身の回りの物をまとめて一人での引越しだった。外国へ単独渡ることに心配があったかといえばそうでもなく、これから始まる新しい生活への期待だけがあった。

航空券の手配は当然してあったし、到着後住む場所の住所も分かっていた。当然だがこの二つは基本的なことで、他の何を差し置いてもまず始めに手配しておかなければならない。家なんて行ってから探せばいいよ、と思う人もいるかもしれないが、そう簡単には行かないのが現実だ。日本で物件を探す場合、保証人が必要だし、学生の場合は両親からの仕送りがある。だから不動産屋は学生に物件を貸し渋る事は基本的にないが、イギリスの場合はそうではないのだ。フルタイムで働くことができない学生は家賃支払いのための定期的な収入の保証がないとみなされ、不動産屋が倦厭して来る事があるのだ。

そんな問題は横へ置いておくとしても、到着した後どこに落ち着くか分からないというのは新しい環境で新しい生活を始めようとしている身の上には余計な面倒事に過ぎない。だから私は大学が提供している学生寮にさっさと入居の手続きを済ませた。

ところがここに落とし穴があった。この寮はかなりの大型の寮で部屋数が沢山あった。しかし私がもらった入居の案内には部屋番号が書いていなかったのだ。寮側はいつどのぐらい入居希望者が来るかを見て後々割り振ろうと思っていたらしい。だがそんな説明を受けていなかった私は、荷物を送った際、部屋番号なしの住所を書いて送ってしまったのだ。

結局荷物は一旦イギリスに着いたものの、寮の部屋番号が分からないため最寄の郵便局か寮の管理室預かりとなったらしい。そんな事は露知らない私はずっと待ち続けていたのだが当然荷物が配達される事はなかった。さらに運の悪いことに私は送り状の控えを紛失してしまっていたので、どこに荷物があるか調べられずにいた。そして荷物は日本に送り返されてしまった。その事を知ったのは数ヵ月後、さすがにおかしいと思って大学のスチューデントオフィスに問い合わせてからである。

入居先を決めておくだけでなく、部屋番号や番地の細かいところまで確認しておいたほうがいい。送り状の控えは何が何でもなくしてはいけない。このときよく分かった。

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